タックスリターンとスーパーアニュエーションTax return and superannuation
タックスリターンとは
- 日本でいうところの確定申告です。基本的に、オーストラリアに滞在していて収入が1ドルある人は、このタックスリターンが義務化されています。しっかりしたところで働いていれば、お給料からタックスおよびスーパーというものが天引きされます。
★タックスリターンとは、この天引きされた税金が適正な額かを調べて「引かれすぎていればその分を返金」「足りていなければその分を徴収」という制度です。
いくら返ってくるの?
リターンと聞くと税金が返ってくると思ってしまいがちですが、必ずしもそうとは限りませんので注意が必要です。課税率は、稼いだお金や滞在期間、ビザなどによっ変わってきます。また、法律も頻繁に改正されるため、申請時点の税率は必ずチェックしましょう。「去年までは無理だったけど、今年は今まで天引きされていた税金が戻ってきた!」という人や、「ほとんど戻ってこずに会計事務所への依頼料などを払ったので損してしまった」という人など、時と状況によって戻ってくる金額は様々なので、自分が損をしないように注意が必要です。
課税所得・課税率とは
課税所得
総収入ー経費(ユニフォームや交通費など)=課税所得
つまり経費を差し引いた個人の純粋な収入が課税の対象となる課税所得と呼ばれるものになります。課税率
稼いだお金(課税所得)に対してどのくらいの割合で税金が引かれるか、これが課税率になります。基本的には収入が大きくなるほど課税率は上がります。さらに、居住者扱いになるか非居住者扱いになるかでも課税率が変わってきます。居住者の場合は$18,200までの収入では課税はありませんが、非居住者は低所得だったとしても収入1ドルから課税がされてしまいます。居住者として扱われる条件
※最新情報は税務署または会計事務所にお問い合わせください- 学生ビザの場合
6ヵ月以上のコースを受講する方 - ワーキングホリデービザの場合
オーストラリアに6ヵ月滞在かつそのほとんどを同じ場所で過ごし、同じ仕事に従事するなどの一定の条件を満す方
居住者として扱われた場合の課税率
※最新情報は税務署または会計事務所にお問い合わせください課税所得 | 税率 |
---|---|
$1-$18,200 | 0% |
$18,201-$37,000 | 19% |
$37,001-$80,000 | 32.5% |
$80,001-$180,000 | 37% |
$180,001+ | 47% |
非居住者として扱われた場合の課税率
※最新情報は税務署または会計事務所にお問い合わせください課税所得 | 税率 |
---|---|
$1-$80,000 | 32.5% |
$80,001-$180,000 | 37% |
$180,001+ | 47% |
※メディケアの資格を持つ人には2%のMedicare Levy、その他にも特別控除など様々な条件がありますので正確な計算や居住者扱いの条件などは税理士への問い合わせをお勧めします。
※2017年1月からはワーキングホリデービザ保持者に対する非課税枠がなくなる予定です。(居住者とされて課税率0%となることが無くなる)詳しくは税制改正についてをご参照ください。
タックスリターンの申請方法
タックスリターンのしくみについて分かったところで、実際に申請の方法についてご紹介します。申請期間
オーストラリアの会計年度は7月から数え翌年の6月までとなります。そのため6月が終わり会計年度が替わると前年度分のタックスリターンの申請が始まります。自分で申請する場合と税理士に依頼するのでは申請の期限が違うので注意してください。期限を過ぎてしまってそのまま放置しておくと、知らぬ間に罰金を課せられる場合もあります。
申請前の準備
- 申請前に必要書類などの確認をしましょう。主に必要となるものは以下の通りです。
- 銀行口座の情報(口座名義、BSB、Account Number)
- PAYG Payment Summary(全ての雇用主から)
- 必要経費の証拠(レシート、領収書など)
などが挙げられますが、Medicareの有無やその他投資などの収入がある場合、配偶者がいる場合には、その他の書類が必要な場合もあります。
申請の方法
タックスリターンの申請方法には大きく2種類あります。- 登録税理士に依頼する
- 自分でオンライン申請する
ある程度の英語力とタックスリターンへの理解があれば自分で申請することも可能です。自分で申請すればもちろん手数料は掛かりません。ですが、何かトラブルがあったときにも安心ですのである程度手数料はかかりますが税理士に依頼するのがおすすめです。(手数料は100ドルほどです)
早期申請について
会計年度の途中で帰国することになった場合は2種類の申請タイミングがあります。オーストラリアの会計年度は7月から翌年6月までになりますので、タックスリターンもそれに合わせて行います。通常の期間に申請する
通常の期間の場合、7月1日から10月31日までが申請の期間になります。オンラインでも申請が出来るので、日本からでも返戻金を受け取れます。しかし、オーストラリアの口座をすでに閉じてしまっている場合や引き出しができない場合は小切手での送金となり、換金に手数料がかかります。税理士に依頼した場合には、日本円換金して日本の銀行口座に入金してもらえる場合もあります。また、登録税理士に依頼する場合は、翌年の5月15日まで申請が可能です。早期申請する
会計年度の途中での申請は基本的には認められていませんが、申請期間前に出国し帰国の予定が無い、かつ出国後にオーストラリアでの収入がない場合には早期申請が認められます。特別な書類も必要となるので、この場合は税理士に依頼しましょう。スーパーアニュエーションとは
- このスーパーアニュエーション(以後スーパー)は、日本で言うところの退職金です。雇用主は給与額に対する一定の割合をスーパーファンド(運用基金)に支払う義務があります。そして、これらのお金は退職するときに退職金として引き出すことが出来ます。つまり、会社側が退職金を少しずつ積み立ててくれている訳です。
※1か月の給与額が$450未満の場合は適応外
帰国に伴う返金申請
基本的には退職時に引き出すのがスーパーですが、一時滞在ビザ保持者(学生、ワーホリ、駐在員)が永久的に出国する場合には、その時点で全額引き出すことが出来ます。申請の条件は以下の通りです。- 一時滞在ビザ保持者であること(ワーホリビザ、学生ビザ、ビジネスビザなど)
- ビザが失効または期限切れであること(あるいは1か月以内に失効すること)
- オーストラリアをすでに出国していること(あるいは1か月以内に出国すること)
申請にあたって
申請前に自分がどのスーパーアニュエーションに加入しているか、残高はいくらかなどを確認する必要があります。基本的には雇用主が3か月に一度、文書にてスーパーの残高を知らせることが義務図けられています。申請に必要なものは以下の通りです- パスポートの番号や住所などの情報
- メールアドレス
- スーパーアニュエーション情報(ABNやメンバー番号)
- ビザのステッカーまたは移民局からのメール(ペーパー申請あるいは税理士に依頼する場合)
- 出国スタンプ(ペーパー申請あるいは税理士に依頼する場合)
※残高や運用基金などスーパーに関する情報が分からなければ、働いていた会社に問い合わせてみて下さい。
注意点とポイント
期限は出国後5年以内
出国あるいはビザが失効してから5年以内に申請をしなければ、スーパーの返金はできませんので、なるべく早急に申請を済ませてしまいましょう。ですが、5年以内にオーストラリアに戻って働く予定があるなら引き出さずに取っておいてください。スーパーファンド(運用基金)は1つにまとめておく
様々な会社で働いたり、複数のファンドを持っている場合は、ファンドに問い合わせてなるべく1つにまとめましょう。そうしておけば、手続きも楽になりますし、小切手で受け取る場合の換金手数料も1回分で済みます。スーパーの申請はそれほど難しくない
スーパーの申請はオンラインでも出来る上、タックスリターン程難しくないので、しっかり必要書類や情報を揃えばご自身でも申請できます。もちろん、税理士やエージェントに依頼することも出来ますがタックスリターン以上に手数料が高いのが特徴です。税制改正について
- ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在している方、これから来られる方が、今最も気になる話題です。当初、オーストラリアでは2016年7月からバックパッカー税というものが施行される予定でした。
今まで、収入が$18,200以下で居住者扱いのワーキングホリデービザ保持者は収入に対する課税率が0%で、天引きされた税の全てがタックスリターンにより返ってくるのがオーストラリアでワーホリをする大きな魅力でした。しかし、この非課税枠を無くそうというのが今回のバックパッカー税です。
2016年7月からこの非課税枠だったところを、0%⇒32.5%というのが当初の案でしたが、結局2017年1月から0%⇒15%に引き上げで収まったようです。
よくある質問
- 申請期間を過ぎてしまったらどうするの?
- 申請期間を過ぎてしまった場合でも、必ず申請を行ってください。この場合は罰金を取られる前に早急に税理士に依頼してください。
- ジャパレスで手渡しでお給料を貰っていた場合は?
- 手渡しでお給料を貰っていた場合は、雇用主側はもちろん給料明細も出せないのでタックスリターンは出来ません。
- もう帰国まで時間がないけど日本からも申請できるの?
- はい、日本からでもオンラインなどを使って申請が可能です。返金がある場合にも、税理士を介して日本の口座に送金可能です(手数料は掛かります)。この場合は出国前に必要書類を揃えておきましょう。基本的には出国前に申請する方が手数料も安く済むので、早めの準備を心がけましょう。
- 銀行の利子も収入に入るって本当?
- 銀行利息などもすべてが収入として課税対象になります。また、銀行にタックスファイルナンバーを申請しなかった場合、税金が源泉徴収されている場合があります。この場合はタックスリターン時にその税金を受け取ることができます。
- 手数料を払ってまで税理士に依頼した方がいいのはどうして?
- 自分で申請をして書類や申請に不備があった場合は、罰金を取られる可能性があります。高額な罰金を取られて返金額が減ってしまうリスクを減らす為にも、きちんとした国家登録税理士に依頼されることを強くお勧めします。